6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/14(日) 22:10:48.43 ID:sOwD8WLk0
「本当にいいんですか?」
「試作品だから味見役だもん。お金は取らないよ〜」
グリーンサラダパンと命名された緑色がかった食べ物を、一砂は表情を殺して飲み込んだ。
その直後、カランと鈴が鳴る。
「楽しそうねー。ハルちゃん?」
「杏子さん!!」
「すっすいません!!バイト募集を見てここに……」
びくりとした彼女連られ、一砂も思わず硬直してしまう。
口周りを拭いたのちに振り返った。
「あら、そうだったの。近くの高校?」
「はい。すぐそこの男子校です」
妙齢とまでいかないものの、どこか上品な雰囲気を漂わせる女性だった。
綺麗な佇まいに少し脈が上がりそうなものだと自分でも思ったが、何故か落ち着いて話せることを不思議に感じる。
「そっかぁ。それで持て成してたのね」
「ついテンションが上がりまして試食品も作っちゃいました!!杏子さんもどうぞ!!」
カウンターに置かれた緑色のパンを見た杏子は、苦そうな顔で笑っていた。
「まぁ……うん。えっと、君の名前は?」
「高城一砂と言います」
「一砂君。それ美味しかった?」
何となく振られるような気こそしていたものの、一砂はなんと答えるべきか言葉が詰まる。
ハルは何も言わずに期待の眼差しを向け、杏子はただただ笑顔でいた。
「……微妙でした」
ハルと目を合わせないようにして答える。
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