144: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/01(日) 06:58:20.29 ID:GlcPGu06o
この建物の前に来るのは、二度目のことだ。前回は、ただのお遣いだった。だが、今回は違う。
今回は、私自身の進退を決める為であり、なおかつ私の意思でこの場にいる。ありていに言えば、私はここに来たいと思ったからここに来た。それが、今までの私との違いだ。
(……それを差し引いても)
私は体を震わせる。やや緊張しているらしく、上手く体が動かない。決して高層ビルとは言えない、四階建ての新社屋は、それにもかかわらず圧倒的な威風を漂わせている。
ただ単にお遣いできたわけではない。それが皮肉にもすくみ上らせている原因だった。ここで私が働くのだと考えると、余計にその威風が私を襲う。
こんな調子で、本当に働けるのだろうか。先行きを怪しく感じざるを得ない。
(ああ、もう。一体何をやってるんだ、私は)
気が付けば、かれこれ五分ほど社屋前で立っているだけだった。場所が場所なら警察へ通報されかねない行動ではある。
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