145: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/01(日) 06:58:50.75 ID:GlcPGu06o
「……もしかして、中小プロのPさん、ですか?」
そんな折、声を掛けられたのは驚きだった。びくり、と体を震わせ振り返ると、そこにいたのは以前、エントランスホールに机を引っ張り出して事務作業をしていた、若いプロデューサーだった。
「このようなお時間に、どうかなさったのです?」
『ああ、あの、いえ。御社の社長様と約定があったのですが、時間が時間ですし、どうしようか、と思っていた物で』
そんな誤魔化すようなことを言う。なんとなく、社屋に気圧されて入れずにいた、というのは情けない、と思ったが故の方便だ。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、彼は爽やかそうに笑うと、
「そうでしたか。中でお待ちいただいても結構でしたのに」
『いえ、お構いなく……』
「そうはいきません。お客様なのですからね」
彼は溌剌そうなその笑顔を私に向け、ニカッと笑う。私よりもかなり若い、まだ社会人になりたてのその体には、どこかあの社長と同じような非凡さを漂わせている。
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