3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/07/31(水) 10:24:50.43 ID:P5mUQBZ80
誰かと夏を遊んで楽しもう、などという気になるはずもない。
それからの夏休みは勉強とリハビリに費やすことにした。
一学期は授業をサボっていても、内容は既に前の学校で習っていたところばかりで焦ることはなかったけれど、二学期以降はそうもいかなくなるだろうと予習と溜めてしまった宿題を徹底的に済ませた。
三度目の気胸の後に行われた肺の手術は無事に成功し、術後の経過も良い。最初の二週間は運動はキツかったが、徐々に調子を取り戻し軽いジョギングはできるようになった。
鳴に電話をかけてみたけれど、その時点ではまだ携帯を買い直していなかった様で繋がらなかった。
どうしても話したいことなんてものはなかったから家の電話にかけたりもせず、結局、夏休み中に鳴ともう一度会って話すことはなかった。
家は、一人減っただけで広く、静かに感じる。だけど、祖父母たちとの日常の営みに違和感を感じることはない。これも〈現象〉によるものなのだろうか。
窓の外から聞こえるヒグラシの鳴き声が段々と遠ざかっていくのを耳に感じながら、中学三年の八月は過ぎていった。
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