過去ログ - [オリジナル]「好きなんて、言わなくたって」 
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25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/11(日) 22:13:45.79 ID:yILj4hEM0
私が玄関を出たのは、すでに太陽が昇りきってからのことだった。

ふと遠方に目を向けると、ありがちな大きさの雲が
どこか怠惰な様子で私の方へと流れてきていた。

そして後ろを振り返れば春子が慌てた様子で玄関から出てくるところだった。

右手には先ほど握っていたおにぎりの入ったバスケット。

新しく購入したのだろうか、私が見たことのない洋服を着ていた。

「新しく買ったの、その服?」

私は何の気なしに訊く。

しかし彼女の頬に赤みが差した。

「その......久しぶりに会うから、少しでも元さんに可愛いと思ってもらいたくて......」

「そっか......すごく可愛いよ、春子。よく似合ってる」

これ以上無く妻を愛おしいと思うが、貧弱な私の語彙ではそのような月並みな言葉しか言えない。

それでも春子は初々しくも顔をさらに紅潮させ、笑みをこぼす。
そしてその顔をバスケットで隠してしまう。

「は、恥ずかしいです......」

そんな恥ずかしい顔ももっと見せてほしいと思った。



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