過去ログ - 照「咲が私をオカズにしてた・・・」
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35: ◆OdfYj4TIEc[saga]
2013/08/06(火) 23:50:28.40 ID:b7LUk7edo
間接キスで照れるだけなら普通の反応だ。これで咲が茶化すだけならただの姉妹の触れ合いですむ話――
「・・・嬉しいな」
小さな、注意しなければ聞き逃してしまいそうなくらいに小さな咲の声が聞こえた。
心の底から喜んでいる声だった。
「・・・ペットボトル捨ててくるから」
「うん、おねがい」
聞こえなかったふりをして空になったペットボトルを咲から受け取る。
今心が震えているのは咲と同じ想いによるものではないと言い聞かせて、私はゴミ箱へと歩き出した。
日が傾きかけた頃、私は再び寒空の下にいた。
気温は昼に比べて下がっているが寒さは微塵も感じない。何故かと言えば隣を歩く咲と手を繋いでいるから。
私が凍結した地面で足を滑らせて転びそうになったからと咲が強引に繋いできたのだ。
両者とも手は分厚い手袋に覆われていたけど、咲の細い指の形までしっかりとわかった。
「お姉ちゃん東京に行ってどんくささに磨きがかかったね」
繋いでいない方の手でマフラーを調えて咲が言う。
「・・・磨きがかかったって何? 私は昔も今もどんくさくない」
「どんくさいよ」
「どんくさくない。昼間だってこけたりしなかった」
転びかけはしたが転倒まではしてないので嘘ではない。
「こけはしなかったけどこけそうにはなったでしょ?」
「・・・うるさい」
簡単に見透かされたことが恥ずかしくて私は悪戯っぽく笑う咲から目を外す。
変わりに見えるのは暗くなりゆく道を歩く沢山の人々。
その中で私達と同じように手を繋ぐカップルらしき男女。
手を繋いでいるのは同じだが繋ぎ方が違う。街灯に照らされた彼女達の手は互いの指が相手の指の間に差し込まれていた。
「私達もあんなふうにしてみる?」
「えっ?」
突然咲がそんなことを言って繋いだ手を持ち上げるので、私は間抜けな声を上げてしまった。
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