806:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/08(金) 23:14:15.59 ID:XlsGKDV0o
「・・・・・・彼氏君」
「妹ちゃん。何か久し振りだね」
「そ、そうかな」
「最近一緒に登下校してくれないから。何か久し振りに会う気がする」
「ごめん」
「別に君のこと責めてるわけじゃないんだ。・・・・・・今日は図書館で勉強?」
「う、うん」
「それなら僕のことも誘ってくれたらよかったのに」
「ごめん」
このときのお兄ちゃんの気弱そうな反応が逆にあたしを後押しした。お兄ちゃんがあた
しに言った復讐的な言葉は嘘ではないと思う。でも、妹ちゃんを前にして情けない態度を
見せているお兄ちゃんの姿もまた演技ではなかった。復讐を決めたお兄ちゃんも妹ちゃん
を前にしてうろたえるくらい彼女のことが好きなのだ。
情けないお兄ちゃんの様子を見てあたしは再び決心した。お互いの両親の不倫とかは一
時忘れて、あたしたち四人が幸せになるために。
「そうそうお兄ちゃん、紹介するね。この今にもここから逃げ出そうと姿勢を低くしよう
としている人が、妹ちゃんのお兄さんだよ」
妹「・・・・・・ちょっと。やめてよ」
こんなにうろたえている妹ちゃんの声をあたしは初めて聞いた。でももうやめるわけに
はいかなかった。
「ああ、お兄さん。妹友からお話は伺ってます。初めまして。妹友の兄の彼氏です。妹さ
んとはお付き合いをさせていただいてます。よろしくお願いします」
「・・・・・・どうも」
「お兄さんとは初めてお会いできました。前から妹ちゃんには紹介してってお願いしてた
んですけど、彼女自分の家族には絶対紹介してくれないんですよ。僕ってそんなに頼りな
いのかなあ。あはは」
「そうなんだ」
「お兄さん」
あたしは思い切ってお兄さんに言った。
「俺?」
「そうです。あたしたちは恋人同士の邪魔みたいですから一緒に消えましょう」
「いや、だってまだ弁当食ってないし」
「あたしもお弁当を作ってきましたから。妹ちゃんのお弁当をお兄ちゃんが食べて、あ
たしのお弁当をお兄さんが食べてくれればそれで無問題です」
それを聞いて妹ちゃんは恐い顔で黙ってしまった。
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