808:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/08(金) 23:17:48.84 ID:XlsGKDV0o
そのとき妹ちゃんが切れた。きっとお兄ちゃんの意図に気が付いていたのだろう。お兄
さんの前ではお兄ちゃんと妹ちゃんの関係を口にしないこと。お兄ちゃんと付き合うにあ
たって妹ちゃんが出した条件がそれだった。お兄ちゃんは了解したらしいけど、その条件
自体理不尽極まりない。
「もうやめて」
「え? 何で」
「いい加減にして。約束が違うじゃない」
「え? でも図書館では」
「お兄ちゃん行こう」
「へ」
「家に帰ろ。変な邪魔が入って気分が悪いし」
「だって弁当は? つうかデートはどうするの」
「外出すると外野が邪魔して鬱陶しいし。家の中なら誰にも邪魔されないじゃん」
「鬱陶しいって僕のこと?」
「妹ちゃん、それはお兄ちゃんに対して言いすぎでしょ。お兄ちゃんに謝ってよ」
多分正しいのは妹ちゃんの方だ。無理な恋愛を既成事実に持ち込もうとして足掻いてい
るのはお兄ちゃんの方なのだから。でもその動機は復讐だけじゃない。お兄ちゃんは妹ち
ゃんのことを。
あたしはお兄ちゃんの側に立って反論した。
「謝らないよ。お兄ちゃん行こう」
「え? だってよ」
「・・・・・・それともお兄ちゃんは妹友ちゃんのお弁当を食べたいの」
「んなわけえねえだろ。でもおまえの弁当だって食いかけで」
「おうちで食べよう。やっぱり自分の家が一番いいよ。変な人も邪魔しないし」
「変な人? もしかしてうちのお兄ちゃんのことを言ってるの」
「さあね。それが自分のことだって気がついていない人のことじゃないかな。約束も守れ
ない人なんてあたし大嫌い」
「人の心ってそんなにマニュアルどおりになるものじゃないでしょ! ちょっとだけでも
お兄ちゃんの気持も考えてよ」
「その言葉そっくり妹友ちゃんに返すよ」
「・・・・・・どういう意味よ」
「ちょっとはあたしやあたしのお兄ちゃんの気持ちも考えたら? 何で妹友ちゃんはいつ
も自分と自分のお兄さんの気持ばっかり優先するわけ?」
正直これには返す言葉がなかったのだけど。
「妹友、もうよせ」
お兄ちゃんがこのとき冷静に間に入ってあたしをたしなめた。
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