過去ログ - 妹と俺との些細な出来事
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882:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/30(土) 23:06:57.74 ID:50yeFttko

 その後の妹ちゃんはうざいくらいにお兄さん大好きモードに突入っしてしまっていて、
お兄ちゃんの自分勝手な行動や目的には賛同できないあたしも少しお兄ちゃんがかわいそ
うになったくらいだった。水族館以降、お兄さんの車の助手席には妹ちゃんが当然のよう
に座った。喧嘩したあたしとお兄ちゃんを並べて後部座席に座らせることに対して、妹ち
ゃんは気を遣う気すらまるでないようだった。その座席順は妹ちゃんだけが盛り上がって
お兄さんが当惑した様子で、あたしとお兄ちゃんが沈んできたばかりだった食事を終えて
も変わらなかった。

 当然ながらあたしとお兄ちゃんは後部座席ではお互いに目も合わず、なるべくお互いか
ら離れて座るようにしていた。

「遅くなったけど爬虫類パークに行こう」

「ああ」

 お兄さんが答えた。

「妹友ちゃん、そろそろ出発しようよ」

「うん。イグアナ楽しみだなあ」

 あたしは平静を装って言った。

「理解できん」

「何でよ?」

「お兄さんも実際に見ればあの可愛らしさがわかりますよ」

「ヘビの仲間の可愛さなどわかりたくもないわ」

「・・・・・・絶対に爬虫類好きにさせてやるから」

 このときのあたしの心境は複雑だった。お兄ちゃんの身勝手な行動を擁護することはで
きない。でも、それは妹ちゃんが本心ではお兄ちゃんのことを好きであるということが前
提になる話だ。お兄さんと妹ちゃんは共依存だとあたしは思っていた。お兄さんは妹ちゃ
んのことを愛していると自分では思い込んでいたかもしれないけど、それは共依存の関係
がお兄さんの思考を歪めていただけなのだ。

 お兄さんの告白を拒否した妹ちゃんは自分の拒絶により大切な兄を失ったと思い込み、
そのことに後悔と責任を感じている。それも共依存のなせる業だ。

 両親が留守がちな家庭で二人きりで育った兄妹がお互いへの依存を深めて行くこといつ
いては、あたしが一番よく知っている。そしてそういう心の傾斜は往々にして対象への愛
情と間違えることになるのだ。あたしはそれを克服した。でも妹ちゃんがまだそのことを
克服できずにいるとしたら。

 お兄ちゃんの計画なんて成り立たない。成り立たないこと自体は別に構わないというか
望ましいことなのだけど、あたしのお兄さんへの愛もまた報われないことになるのだろう
か。

 さっきのお兄ちゃんの言葉が頭に浮かんだ。



『おまえはお兄さんが好きなんだろ? お兄さんと付き合いたいんだろう』

『そのためにはあの度を越えたブラコンの妹ちゃんの気持を僕に向けないと、おまえはお
兄さんとは付き合えないよ』


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