937:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/14(土) 22:12:35.78 ID:z+bJyO34o
<密告>
「妹友ちゃんってうちのバカ息子と仲良かったんだっけ? 全然知らなかったわ」
おばさんがあたしに微笑みかけながら言った。
「えと。どうぞ」
あたしは少し席をずれておばさんの座る場所を空けた。
「ありがと」
おばさんがドリンクをテーブルに置いて腰掛けた。
「そちらは?」
女友さんを見ておばさんがあたしに聞いた。
「女友さんです。お兄さんの大学のお友だちで、女さんの親友です」
「は、初めまして」
まだ緊張しているらしく硬い表情と声で女友さんがあいさつした。
「こんにちは。まあ、女ちゃんのお友達なのね。女ちゃんはお元気?」
「あ、はい。元気です」
「最近会ってないのよね。いつからだろう。ああ、女ちゃんに彼氏が出来てからだ。ふ
ふ。あのときはうちのバカ息子は女ちゃんに失恋したんでしょうねえ」
「いえいえ。そうじゃないと思いますよ」
てんぱっていた女友さんがよけいなことを言いそうだったので、あたしは慌てて口を挟
んだ。
「あの。お礼が遅れましたけど別荘に誘っていただいてありがとうございました」
「あ、ああ。そうか。そうだよね。一緒に旅行に行ったんだっけ。だから兄のことを知っ
ていたのね」
おばさんが今までそのことを忘れていたことが不思議だった。子どもたちが連休中に誰
と過ごしていたかも覚えていないほど、子どもたちに興味がないのだろうか。妹ちゃんの
家は家族全員がすごく仲がいいのだと、妹ちゃん本人から何度も聞かされていたあたしは
おばさんの様子に疑問を感じた。
でもおばさんはそんなあたしの疑問なんかおかまいなしに話を続けた。
「ごめんね。仕事の途中だからあまり時間がないの。だから早速聞かせてもらおうかな」
「あ、はい」
「うちのバカ息子が性悪女に騙されてるって? まあ自業自得って気もするし、いい勉強
だっていう気もするんだけどね」
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