970:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 23:30:01.46 ID:n+EZ0SdMo
<お兄さん起きてください>
「初めて会った女の子に自分の息子と付き合うように勧めることなのかあるのかな。たと
え好きな女の娘だとしてもさ」
兄友さんはあたしの話を聞いたとき、疑わしそうな声を出した。それは普通に考えれば
もっともな疑問だった。でもあたしは兄友さんの言葉を無視した。自分の信じたいことを
信じようという衝動が働いたのだ。
兄友さんはあたしのことが好きなのだろう。池山さんの容認の下であたしがお兄さんと
結ばれるのを阻止したいと思ったのかもしれない。たとえ意識したのではなくても無意識
のうちに。あたしは何も見えなくなっていたのだ。
『そのうち君にお父さんと呼んでもらいたいな』
あのとき池山さんはそう言った。
『何か勘違いしませんか。あたしはあなたとママの関係を認めたわけじゃない』
『ああ、それはそうだろうね。そんなに簡単に割り切れることじゃないだろうし』
池山さんが笑った。
『そうじゃないんだ。つまり君が兄の彼女とかお嫁さんになってくれれば、君は私のこと
をお父さんと呼ぶようになるだろ? そっちの意味なんだ』
『・・・・・・何言ってるの』
『君みたいな子が兄の彼女ならいいなって』
冷静に考えれば兄友さんの言うとおりだったろう。あたしのことなんか何も知らない池
山さんがお兄さんの彼女にあたしがふさわしいなんて判断できる材料なんか何もない。
ママとの再婚に際してあたしを味方に使用と知っていると考えるのが妥当だ。それでも
あたしは池山さんの言葉に乗ろうと思った。お互い様だ。どうせママと彼との仲は既定事
項で今さらどうしようもない。それならせめてこの動きに乗じて自分の望みをかなえても
いいのではないか。あたしはそう考えたのだ。
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