979:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 23:40:30.97 ID:n+EZ0SdMo
あたしが新しいマンションに引越す前日の金曜日。下校しようとしていたあたしは、校
門の前で妹ちゃんを見かけた。彼女は大きなバッグを抱えたまま寮の同室の子と抱き合っ
ていた。何をしているんだろう。あたしは何となく校門前の木陰に隠れて二人の会話を盗
み聞きした。
『いろいろありがとう。これからも友だちでいてね』
『よかったね。約束どおり友だちだよ?』
『うん。もちろん・・・・・・泣かないでよ』
『妹ちゃんと一緒に暮らせなくなるのが寂しい』
『ごめんね』
『こっちこそごめん。でも、本当は喜んでいるんだ。妹ちゃんがようやくお兄さんと二人
きりで暮らせるんだし』
『・・・・・・うん』
『頑張ってね。寮で辛い思いをした分幸せになってね。応援してるから』
『ありがと。でも大袈裟だよ。また学校で会えるじゃん』
『うん』
あたしは呆然としてその会話を聞いていた。
『こっちこそごめん。でも、本当は喜んでいるんだ。妹ちゃんがようやくお兄さんと二人
きりで暮らせるんだし』
妹ちゃんはママと暮らすのではなかったのか。お兄さんは一人暮らしを続けるのではな
かったのか。
やがて妹ちゃんが同室の子と名残惜しげに別れを告げて歩き出した。あたしは思わず彼
女の後を追った。
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