過去ログ - 妹と俺との些細な出来事
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978:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 23:38:13.22 ID:n+EZ0SdMo

 一月後に結論は出たけど、その結果は散々なものだった。

 お兄ちゃんは浮気して家庭を壊したママと一緒に暮らすことを冷たく拒否した。自業自
得ではあったけど、そのときのママの傷付き狼狽した姿を見るのは結構つらかった。お兄
ちゃんはこのままこの家でパパと暮らすそうだ。実際にはパパはほとんど不在なのにも関
わらず。それでもママに裏切られたパパにはお兄ちゃんの選択はせめてもの救いのようだ
った。

 あたしはママと暮らす方を選んだ。心の中にお兄さんとのことが燻っていたことは正直
否定できないけど、それでもほとんど家にいないパパより浮気して家庭を壊したにしても、
パパよりは家にいてくれたママを選んだのだ。

 池山さんの方はもっと悲惨だった。妹ちゃんは池山さんに引き取られるのを拒否し、マ
マの方を選んだ。どっちも選べないようならそのまま寮生活になったはずだけど、彼女は
はっきりと自分のママの方を選んだのだった。ファミコンの妹ちゃんにしてはよく決断し
たものだと思う。彼女ならどちらも選べず一人で悩み傷付いて、最悪の場合はそのまま壊
れて行くのだと思っていたから。

 とにかく彼女は母親を選んだ。

 そして、池山さんのシナリオの破綻はそれに留まらなかった。お兄さんは両親のどちら
からも望まれていなかった。それでも池山さんは妹ちゃんが自分と暮らさない場合は、お
兄さんを自分と一緒に暮らさせるようにすると言っていたのに。別に池山さんのその約束
を過度に期待していたわけではないけれど、結局それが実現しないと知ったとき、あたし
は深いため息をついた。夢は夢に過ぎない。あたしはそれを思い知らされた。結局兄友さ
んの言うとおりになってしまったではないか。池山さんのことを信頼しすぎたのだ。

 お兄さんはこれまでどおり一人暮らしを続けたがった。池山さんが兵糧攻めを匂わせて
説得したけど、お兄さんのママが彼を救った。

『兄があなたや私と暮らすことを拒否している以上、強制する理由はないでしょ』

 お兄さんのママは池山さんにそう言ったそうだ。『あなたがそういうことを言うなら兄
は成人するまであたしの戸籍に入れます。それで兄の望みどおり一人で暮らさせるから』

 新しいマンションは富士峰に通学するのに便利な場所だったし、部屋数も多かった。そ
の広いマンションで結局あたしはママと池山さんと三人だけで暮らすことになってしまっ
たのだった。それも最初の一月がたつと、二人は仕事で帰宅しないようになったため、以
降はあたしは一人暮らしをしているのと同じだった。


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