過去ログ - インデックス「この向日葵を、あなたに」
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27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/08(木) 12:31:10.89 ID:q8CRr7Mk0
青ピ「……まぁまぁ、あれですわ」

上条「……?」

青ピ「自分で大事に抱えとったつもりが――」

青ピ「実ぁ相手から抱えられてた、なんて関係もあっても良いと思いますわ」

上条「……そうか?」

青ピ「――てな訳でボカぁちょっと野暮用が!」

上条「何?お前もヒグラシがカナカナでお持ち帰りするの?」

青ピ「いや実はな、別の家で男女交えてお喋りするって企画がありまして」

上条「……まぁ、それならいいのか?」

青ピ「今夜は戻りませんよって!まいどっ」

上条「がんばれー。あんま迷惑かけるなよー」

 煩い人間ほど居なくなれば寂しい。
 一人になって上条はその言葉を噛み締めていた。
 網戸になった窓からは秋の虫の声。鈴虫やコオロギが盛んに鳴いている。
 確か、と最近読んだ雑誌を思いだしてみれば、外国人にとっては日本の虫の音は騒音でしかないのだそうだ。
 翻って自分はどうだろう?
 実家はそこそこ田舎の街。学園都市では虫を目にする機会すら無い。
 にも関わらず、ごく自然と秋の虫の声が受け入れられるのは、忘れているだけで憶えているのかも知れない。

 ……世界を救うため――いや、そんな綺麗事じゃない。あの時フィアンマには偉そうな事を散々言ったけれど。
 結局の所、上条当麻がロシアまで喧嘩を売りに――買いに、かも知れないが――行ったのは、只一人を解放するためだった。

 だがもし――とも考えてしまう。考えてはいけないかもしれないが。

 利用されたのがインデックスでなければ?例えば御坂や風斬、アニェーゼ辺りであれば?
 おそらくは……行った、のだろう。それは、曲げない。悪い奴が居ればぶん殴る。また悪い事をしようとするのであれば、何回でも。
 だが果たして『インデックスが酷い目に遭っていなければ、あそこまで切羽詰まって』いただろうか?
 天草式や神裂、キャーリサや学園都市等々、今思えば共に戦ってくれるであろう味方は大勢居たのに。
 どうして独りでフィアンマに臨んだのか……?

上条「……分かってるけど」

 それは罪悪感『ではない』。勿論正義感『ですらない』。上条はそう自分を分析する。
 あれは――そう、タダの口封じがしたかっただけだ。
 自分がインテックスを騙し続けている事を。それが誰かに知られぬように。

上条「……」

 では何故そうしたかったのか?隠したかったのか?
 それを突き詰めていけば、滑稽な答えに辿り着く。

上条「俺は……」

 いや止めよう、と上条は頭に浮かんだ答えを振り払った。全ては仮定、そして自分にしか分からない事だ。
 一々気に病んでいたとしても、何がどうなる訳でもない。

 謝罪すべき相手は、既にこの世には居ないのだから――。


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