過去ログ - 天井「どうしてここまで来たのだろうな」
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133: ◆n7YWDDtkCQ[saga]
2014/03/09(日) 16:39:32.77 ID:AfZ3xakO0


初めて訪れる病院というのは、やはり疎外感を感じるものだ。
まして、治療や診断という本来の目的に沿わない来訪であるならば、なお。

隊員「――というわけで、患者のAIM拡散力場の測定にご協力いただきたいのですが」

職員「少々お待ちください。院長に伝えてまいります」

慣れた様子の女性職員が席を立つ。

時は過ぎて十九日。
第十三学区の小規模な病院の応接室に天井は落ち着かず腰掛けている。
清潔さを前面に押し出した内装は、安心感よりよそよそしさを感じさせた。
それも全て、天井自身の心情によるものだろうが。

天井「……改めて、今回は同行させていただきありがとうございます」

隊員「いいえ、天井先生の調査によりここにこぎつけた訳ですから」

小さく言葉を交わせば防音が利いていると思われる壁に吸い込まれていく。
相手はMARの隊員で、先日テレスティーナの前に概要を説明した当人だった。
まさか盗聴、盗撮されているとも思わないが、踏み込んだ内容は話さない。
もっとも互いに警戒しているのはこの病院でなく、同じ側のはずの同席者かもしれなかったが。

言うまでもなく、ここはかつて生徒の一人が収容されていた施設である。
前々日からの調査報告を踏まえ、近隣で起こった微震の発生源の一つである可能性があると申し出たのだ。

天井(仮にも一研究者に過ぎない私では個人情報保護を理由に撥ね付けられてしまう。
   MARと連携する理由としては十分だろう)

ただ、測定許可が下りたとして、ここでの測定の主体はMARである。
同行は許されたものの、AIMのデータの処遇については病院側の意向による部分が大きい。
具体的には「外部協力者」として紹介された天井に対し、閲覧許可が出ない可能性があるということだ。
その場合は測定中は席を外し大まかな結果のみ隊員から聞くこととなる。

ここが当たりに近いだけの外れであると知っている天井にとってはどうでもいいことだが。
むしろ残念な振りをもっともらしく演じる方に注力すべきだろう。

キィ、と木製を模したドアが軋む。

院長「初めまして、当院の院長を務めさせていただいております。
   早速ですが、公的な調査とのこと、当院でも可能な限り協力させていただきます。ですが」

ほらきた。
ちらり、と寄越された目線にたじろいでみせる。

院長「申し訳ございません、患者の情報はどんなものでも非常に繊細なものです。外部の方には……」

隊員「かしこまりました。測定、データの閲覧は警備員内部だけに留めるようにいたします」

院長「ありがとうございます。また、公職の方でもこのような場合誓約書への署名をお願いしておりまして――」

予想通り、隊員の作業が終わるまでどこかで時間を潰すこととなりそうだ。





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