530:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga ]
2014/02/09(日) 23:35:05.81 ID:oPXsKTTa0
ホットドックも食べ終わり、デートを再開させ目的もなく歩き回る2人。
にしても暑い。もう夏も終わりだと言うのにミンミンとセミが元気よく鳴いている。
美琴を見ても、額から汗を垂らしている。
「美琴、そこの木陰で休んでろ、今度は俺がジュース買ってきてやるから」
美琴をクレープ屋の屋台の近くの木陰のテーブルに座らせて、自分は自販機を探しに行く。
不幸体質の珍しくすぐに自販機は見つかった。
お金を入れ、ジュースをヤシの実サイダーを買おうとしたその時、
「おや、貴方は」
男の声だった。
振り返ると、海原光輝その人だった。
「……何のようだよ」
「そんなに怖い顔をしなくても。自分はただ散歩をしてただけですよ」
怖い顔。
それは美琴に付き纏う事への怒りか。こんなさわやかな青年に美琴を取られたくないと思う自分の子供っぽさに対する悔しさか。
御坂美琴は上条当麻の彼女。その事実と先ほどの美琴の言葉がなければ、この場で彼に殴りかかっていただろう。
冷静さを失わずに、上条は海原光輝に言葉を掛ける。
「最近、美琴に付き纏ってるらしいな。何でだよ」
「付き纏ってるとは……自分はただ御坂さんに話しかけてるだけですよ。理由としては、彼女が好きだからです」
はっきりと、海原はそう言った。
「俺が美琴の彼氏だと知ってても?」
「ええ」
「諦める気は?」
「無いです」
上条には解る。彼は本気だ。ナンパのような感覚で美琴のちょっかいを掛けているわけではない。
だからこそ、上条も譲れないのだ。彼もまた、御坂美琴が好きで、愛しているから。
「お前が悪い奴じゃないってことはわかったよ。でも、美琴は譲らないからな」
「わかってますよ。ですが自分も、御坂さんのことを諦められないので。お時間を取らせてすみません」
海原は去る途中で、小さな女の子が手放してしまった風船を拾っていた。
美琴を狙う恋敵ながらも彼を嫌いになれないのは、あのような人間だからだろうか。
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