32: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/24(土) 09:38:20.74 ID:Eikl4zs70
そこで私は昨日の電話の主を思い出します。『天網恢恢疎にして漏らさず』。考えられるのは今のところあいつしかいませんが、果たして。
それにしてもこの静けさです。人っ子一人の気配すらありません。いや、もともと気配なんて読めませんけど、なんにしても、夢じゃなかった。
夢じゃなかった!
だとしても問題は解決されません。どう考えても私の「有言実行」はこういう事態に対処できるような能力ではないのです。とにかく会話をして、言質を取らなければ。
椅子の脚が私のセーター服の襟を掠めて行って、思わず前につんのめります。椅子はようやく壁に激突して大破しましたが、私を今追ってきているのは、もう一つ。
そうです、机です。
なかなかの質量をもつそれを私の運動神経と体勢では避けきれません。両腕でなんとか頭だけは守りますが、勢いに負けてリノリウムの床をごろごろ転がっていきます。
机は床に落ちたまま動きません。距離が離れたからなのか、時間が経過したからなのか、わかりませんがこのチャンスを逃すつもりもありません。すぐさま立ち上がって走り出します。
階段を下りて、下りて、とにかく下の階へ。
外に出ればさすがに追いきれないでしょう。
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