55: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/30(金) 22:58:00.22 ID:UCOHuY5k0
残るもう一匹は腰を抜かして立てそうになかった。じわりじわりと地面に広がっていく、血ではない染み。失禁したのだ。ガキか。
汚い。
死ね。
輝く包丁がブタの頬から入って眼窩から抜けていく。「ぐえ」だの、「うぼえ」だの、おおよそ人間らしくない断末魔を上げて、地面にそのまま突っ伏する。
黒マント「どいつもこいつも私をバカにしやがって! どいつもこいつもっ!」
血がついてしまったウィッグをさっと拾い上げ、小脇に抱えながら、そいつらの頭を踏みつけた。何度も、何度も、何度も!
息が上がる。そして私は颯爽と踵を返す。ついでにマントも翻す。当然周囲はざわついていて、ついには警察の姿も見えてきた。ムムが何とかしてくれるとはいえ、とりあえず逃げなければ。
いくつの路地を曲がっただろう。この都市にはスラムこそないが、それでもやっぱり、治安の悪いあたりは存在する。大通りから離れた薄暗い路地。そこはどうしても、悪いものを呼び寄せる。
金髪「お嬢ちゃん、こんなところへ、何しに来たの?」
血飛沫のついた顔で金髪の男は言った。立ち上がると同時に、金髪が今まで胸ぐらを掴んでいた別の男が、力尽きて地面に倒れ伏す。
喧嘩――いや、傷害致死。その現場に出くわしてしまったようだ。
男は顔についた赤いものをぺろりと舐めた。私は僅かに後ずさる。何か、危ない。危険な気がする。なんだこれ。この男。
黒マント「まさか、能力者……?」
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