過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part 6
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59: ◆lhyaSqoHV6[saga]
2013/08/19(月) 07:33:40.74 ID:VHs+KO40o

仁美の決死の攻撃は、果たして狼型の核を捕らえることに成功した。
手に何か硬い物を穿ち砕く感触が伝わり、身体に食らいつく顎の力が急速に弱まるのを感じる。

仁美「ふっ……肉を斬らせて……骨を断つ……ってね」


満身創痍の状態で、核から穂先を引き抜く。
すると、巨大な狼型の体躯はすぐさま不定形の泥と化し、そのまま地面へと消えた。

仁美「やったよ……アタシが、勝ったんだ……」

仁美は、カースの消滅を以って自らが勝利したことを実感する。
しかし、緊張状態が途切れたことにより脳内物質の分泌が止まったのか、焼け付くような痛みが全身に襲い掛かる。
視線を落とすと、狼型に噛みつかれていた部分から鮮血が溢れているのが見えた。

仁美「こんなに……血を流しちゃうなんてね……」

仁美「……ふふ……真っ赤で……時代劇で見る通りだなあ……」

深手を負い混乱しているのか、わけのわからない思考ばかりが浮かぶ。


仁美「あっ……」

ふっ、と身体から急に力が抜け、思わず倒れそうになるのを、折れた穂先を杖代わりにして膝をつき耐える。
流れ出る血と共に生気も抜けていっているのだろう、視界の端から黒く濁ってゆき、一瞬前まであった痛みももはや感じなくなっていた。

仁美「(これはもう、ダメかな……)」

仁美「(あやめっち……ゴメン……あとは任せた)」

心の中で、今まで共に戦ってきた、そして、一人残してしまう事になる友人に、己の不甲斐なさを詫びる。

仁美はついに崩れ落ちると、そのまま起き上がる事は無かった。


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