過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part 6
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◆lhyaSqoHV6
[saga]
2013/08/19(月) 07:29:52.78 ID:VHs+KO40o
仁美「どうしようもない、か……」
仁美は片膝をつくと、言い聞かせるように呟く。
仁美「ご先祖様……ごめんなさい!」
そう言うと仁美は、ついた片膝に槍の折れ曲がった部分を宛てがい、両の手で力を込めてへし折った。
穂先だけでも、武器として利用しようというのだろう。
松風『おい! 仁美! 何があった!?』
槍の中に封印されている松風が、今までに感じたことの無い衝撃に思わず声を上げる。
それに答えるように、仁美がおもむろに口を開く。
仁美「……松風」
仁美「もし"自由"になれても、もう人間界で暴れるのは止してね」
松風『ハァ!? お前、何を言って──!』
仁美は、松風の言葉を意に介さず立ち上がる。
そして、覚悟を決めるかのように、大きく深呼吸を一つ。
仁美「矢尽き刀折れ……最後に残ったのはこの身一つ……か」
仁美「だけど、アタシは負けない!!」
戦う術を失いながらも、猛然と向かってくる狼型に臆する素振りを見せず、叫ぶ。
狼型は、相手が動かないのを戦意を喪失したと見たのか、大口を開けて突進してくる。
──そしてついに、その凶悪な顎が、仁美の身体を捕らえた。
刃物の様に鋭い牙が身を裂き、強靭な顎が骨を軋ませる。
仁美は顔を苦痛に歪めるが、しかしその口元は──口角が微かに吊り上がっていた。
そして一言
仁美「勝った……!」
そう呟くと、手にした穂先を狼型の首へと突き立てた。
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