過去ログ - 席替えは時として、突然に新たな道を作る。
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/22(木) 20:22:23.72 ID:pCW+xDtD0
「ねぇあんた。由比ヶ浜や雪ノ下とも二人で出かけたことあるの?」
「え、なに急に。まあ・・・あるけど。」
「やっぱりあるのか・・・」
「それがどうしたんだよ・・・」
「いや、なんでもない。」
それから妙に気まずくなり、オムライスが来るまで俺達は一言も話さなかった。
「お待たせ致しました。ダブルソースのオムライスのSのお客様。」
「はい。」
「こちらカニクリームコロッケのハヤシソースのSです。」
「ども。」
「取り皿はこちらに置いていきますね。何かあればお呼びください。ごゆっくりどうぞ。」
そして俺達は自分のオムライスの半分を取り皿に移した。
「なるほど、この手があったか・・・」
川崎はダブルソースなので半分にするのは難しいだろうと思っていたら川崎は横に半分に切っていた。
取り皿には横に長い半分のオムライス。
「え、何。何か間違った?」
「いや、間違ってないはずだ。ただ俺にこの方法は思いつかなかったんだ・・・。」
「じゃあどんな方法を考えてたの?」
「何も思いついてない。こんな数学的なこと俺には無理だ。」
「数学って言うより算数じゃない・・・?」
「良いんだよ。細かいことは。食おうぜ。」
俺達は目の前のオムライスを食べ始める。
「美味い。」
「美味しい。」
完全に感想を言うタイミングが重なった。
「さすが人気店だな・・・。」
あんなに行列になる理由がわかった。
たかがオムライス。されどオムライス。
卵料理は奥が深い・・・。
「あんたが頼んだやつも美味しいよ。」
「うん。ダブルソースも美味い。」
そう言葉を交わした後、お互い無言で食べ始め、一言も喋らないまま食べ終わった。
食事とは本来、喋りながらするもので、目の前の食べ物に正面から逃げずに立ち向かう。
それが正しい食事ではないだろうか。あくまでも俺の持論。
小学校とか中学って給食で皆同じ物食べてるはずなのに女子が食べる遅いのは喋ったりしてるからじゃないだろうか。
その証拠に俺みたいに誰とも話さないやつは食べ終わるのが早い。
一定の時間までは教室から出ちゃいけないからすごく気まずいんだよなあ。
なんで班ごとに机くっつけて食べるんだよ。みんな後片付け押し付けようとしてくるし。
ほんとにあれ廃止にしろよ。誰だよあんなこと考えたやつ。
食べ終わった後、川崎が口を開いた。
「あんたが今なに考えてるか当ててやろうか。」
川崎は少しニヤニヤしている。
「おう。やってみろ。」
「妹にも食べさせたいなぁ・・・でしょ!」
ニヤニヤにプラスして少々ドヤ顔っぽくなっている。
普段のクールな一匹狼のイメージからは想像もつかない。
「そう考えるってことはお前が大志に食べさせたいと思ってるんだな。」
「なっ、そ、そんなこと言ってないだろ。」
「いや、その考えに至るあたり、お前が同じ内容を考えていたと言い切って良い。なぜならお前は重度のブラコンだからな。」
「あんただって重度のシスコンだろ・・・。」
「ああ。だが俺が考えていたことはそれじゃないんだ。」
「え、じゃあ何考えてたの?」
「今日何かおもしろいTVあったかなあって。」
「・・・はぁ。」
川崎はため息をついた。
「おい、なんだ。なんでため息なんだよ。」
「あんた・・・バカじゃないの?」
「なんでバカ呼ばわりなんだよ・・・。」
「さて、そろそろ出る?」
「おい、話替えるな。」
「えーっと・・・私の値段は・・・」
川崎は伝票に手を延ばす。
「いや、今日は俺払うから良いよ。」
川崎より先に伝票を取り俺はそう言った。
「え、いいよ。自分の分は自分で払うし。」
「良いんだよ。いつも弁当もらってるし。このくらいおごらせてくれ。」
「・・・わかった。なら何か頼もうかな・・・。」
「さて、レジ行くわ俺は。」
そう言い残し、俺はレジで会計を済ませた。
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