過去ログ - 御坂「あんたのこと」食蜂「大好きよぉ」
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[saga]
2013/08/17(土) 22:51:05.41 ID:BX4MDBAAO
〜66〜
白井「はっ」
目覚めた白井の双眸に飛び込んで来た物。それは見知らぬ天井。
結標「黒子」
そして見知った相貌。結標の左手が白井の右手に繋がれていた。
白井「淡希さん」
結標「おはよう」
声に出して名を呼ぶ。喉が罅割れたように乾いている。空腹感と倦怠感が満ち充ち、酷く身体が気怠い。
更に目を引くのがショートボブに切り揃えた結標の横顔。そこで自分が長期間に渡り眠っていたと悟る。
白井「ここはどこですの?あれからどれくらい経ちましたの?」
結標「……海上よ。あれから31週、半年以上になるかしらね」
白井「半年以上!?」
白井も思わずガバッと跳ね起きようとして腹筋に力が入らなかった。筋肉がかなり衰えているのがわかる。
白井が横たわるベッドの側に置かれたパイプ椅子より立ち上がった結標が、手を背中に差し入れて起こす。
そこで気付いた。自分の手の甲にポタポタと落ちる結標の涙に。縋りつくように抱き締められている事に。
白井「淡希さん……」
オルソラ「気が付かれたのでございますね。ええと、白井さん」
白井「――貴女は?」
オルソラ「オルソラ=アクィナスと申します。あなた方の手で処刑塔で皆殺しにされた者達の同胞と言えば」
白井「………………」
オルソラ「おわかりいただけましたでしょうか?では結標さんに代わって説明させて頂くのでございますよ」
そしてそんな自分達を、ドアの隙間から顔半分をケロイド状に引きつらせたシスターが見つめていた事も。
顔は笑っているのに目は笑っていない。言葉の端々に含ませた毒や棘を隠そうともしないその物言いから。
白井「(わたくし達もお姉様と同じように捕らえられたと考えるべきでしょうか?だとすればお姉様は)」
結標「待って頂戴。私から説明させて。他人の口から聞かされてもこの子はきっと“信じられない”から」
白井は自分達に向けられている負の感情を推し量る。その間にも結標が涙を拭いてオルソラを諭していた。
その代わりに海原の使っていた車椅子と防護服を出してと言い、オルソラが持って来るまでの僅かな間に。
結標「……貴女が眠っている間、私は何度も心中を考えたわ。いっそ目覚める前に楽にしてあげようって」
白井「!?」
結標「こんな世界で生きて行くくらいなら死んだ方がマシって」
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