164: ◆iIfvn1jtvs[saga]
2013/09/20(金) 21:54:47.37 ID:QltVepZq0
姫の傘が青年の右目目掛けて突かれる。
青年はそれを素早く交わし、カウンターの要領で剣を縦に振るった。
もちろん体制も崩れた一撃が当たるはずもない。
しかしその目は当てる気の無い者のそれでは無かった。
彼は外れる事を知っていながらも、本気で当てるつもりで剣をふるっていた。
互いに相手を殺すには十分過ぎる距離。
姫の傘と、青年の剣が交差し、ぶつかり合い、交わし合う。
それが何回、何十回とくり返される。
互いに薄皮一枚、刃の上を滑る様な繊細で、ギリギリの綱渡りの勝負。
もし勝負がつくのなら、一瞬だろう。
姫も青年も一旦さがり、勝負を一度振り出しに戻すという考えは一切無かった。
今この瞬間、この戦いを楽しむ。
勝つか、死ぬか、その二択だった。
皮肉な話だが、この時、この二人の心情はほとんど同じだった。
ただただ純粋に、相手をどうすれば殺せるか。
それをひたすらに思考し続けていた。
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