過去ログ - 雪ノ下「比企谷君、今からティーカップを買いに行かない?」
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957: ◆GULJi96aoSzS[sage saga]
2013/10/26(土) 21:03:42.27 ID:t4lG1/uao


「こ、これって、毒草ですか?」

 そう尋ねると、急にほてりを覚まして冷気を帯びた表情で雪乃が、


「何か?」

とすごんできた。
 怖っ!


「これは胡麻和えのおひたしや白雪揚げって天ぷらにして食べたり、熱さましや火傷、凍傷に効く薬草としても使われるんだよ」

 旦那さんが教えてくれた。


「凍傷に効くんじゃなくて、凍傷になるの間違いじゃないんですか」


「八幡、あなた何て言ったのかしら」

 雪乃はギロリと睨んでくる。
 凍傷どころか氷漬けにされてしまった気分だ。


「可愛い彼女さんなんだから、ほどほどにしておきなさい、八幡くん……」

と奥様にたしなめられた。

 あのー、いつも攻撃にさらされているのは俺の方なんですけど。


「……だって、雪乃ちゃんは奥さんになる人なんでしょ。比企谷雪乃って名前で宿泊を申し込んできたんだから」


「!……」

 雪乃は思わぬ暴露で固まってしまった。
 いや、知ってるって、お前は高松のホテルでもやってただろ。

 終始、ご夫婦のペースに狂わされっぱなしのまま俺たちは散策を兼ねた山菜摘みと豆腐作りを終えた。
 そのあと、旦那さんが方々に連絡を取ってくれたおかげで、山の斜面いっぱいに広がる集落でのレポート
取材はスムーズに進んだ。
 ほかにも平家屋敷や資料館を回ったり、祖谷峡に足を延ばしたりと祖谷の自然と風土を満喫して日中の行程
をこなした。


 夕方からは「『夫婦水入らず』のところ押しかけてごめんね」とご夫婦がやって来た。
 一緒に炊事をして朝積みの山菜や作った豆腐を堪能した。
 特にユキノシタの白雪揚げがおいしかった。

 やはりここでもこのご夫妻のペースに乗せられ、しどろもどろの俺と雪乃だった。
 俺らでは銀婚式をとうに向かえたこのふたりにはどうあがいてもかなわない。
 そんなこんなで楽しいひと時もお開きムードになった頃、旦那さんの携帯が鳴った。


「おーー、そうか! おめでとう!!」

 どうやら無事出産したようだ。
 奥様とも話した後、俺たちに携帯が手渡された。


「比企谷くんたち、ほんとにすまなかったね。でも、おかげさまで無事長女が産まれたよ!」


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