過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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117:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/26(月) 19:06:55.81 ID:6bIMMG+Io



 ぎい、と鉄扉が軋む音がした。

 屋上に来る人は、そんなに多くない。
 一年の春頃に、興味を持ってやってくる人も多いけれど、みんなそのうち来なくなる。

 風を遮るものがないぶん何をするにも不便だし、肌寒かったりもする。
 高い場所にあるだけで、べつに面白いわけでもない。

 頻繁に掃除されているわけでもないから、そんなに綺麗な場所とも言えない。
 夏頃はここに来る人も結構いたけれど、大抵の人は太陽の光にうんざりして屋内に戻っていった。

 だから、人が来るのは珍しい。そう思って後ろを振り返ると、扉から出てきたのは後輩だった。
 何か用事でもあったのかと思って様子をうかがう。  
 後輩は俺たちふたりを交互に見つめると、じっとしたまま黙り込んでしまった。

 俺が困っていると、隣に立っていた彼女がフェンスを離れる。

「わたし、もう行くから」

 それだけ言うとあっというまにいなくなってしまった。
 取り残された俺と後輩は、しばらく言葉もなく向かい合っていた。



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