過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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226:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 18:02:02.30 ID:hAkQPchbo



 昼休みには、感覚は平常通りに戻っていた。

 屋上の空気は冷たい。
 さすがに昼前には霧ではなくなっていたけれど、細かな雨はまだ降り続いていた。音のない雨。

 霧というのは最悪だ。いつのまにか忍び寄って、小さな虫みたいにひそやかに身体に入り込む。
 気付きもしないうちに、人を内側から底冷えさせていく。そこに躊躇はないし、礫ほどの愛情もない。

 そして、誰もが忘れた頃に、鈍い痛みを連れてくる。

 だから霧雨は嫌いだった。

 それなのに、そんな日は無性に外の様子が気になってしまう。

 どれだけ細かかろうと、雨の下に出れば濡れてしまうのは当たり前だ。
 浮かび上がるような粒には、傘だって無意味だろう。こんな日に外に出る奴なんて馬鹿だ。

 フェンスの近くまで歩く。靴の裏の濡れた感触が気持ち悪い。

 それでも彼女はそこにいた。



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