過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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229:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 18:04:55.16 ID:hAkQPchbo

「わたしは、良いと思ったよ。去年の」

「……俺の?」

「うん。必死なのに、一生懸命なのに、身動きとれてない感じが。でも前向きでさ。そういうのって、分かる人にしか分かんないけど」

 彼女はいつになく饒舌だった。何かを感じ取ったみたいに。

「選民意識とかじゃなくてね、結局、経験とか、境遇によるんだよね。教室とかでもそうでしょ?
 Aに位置する奴は自分なりにがんばってて、Bに位置する奴はがんばっても仕方ないからそこそこにしようって思ってる。
 Cに位置する奴は、どっちもバカで何も分かってないって思ってる。バラバラなんだよ。方法論も目的意識も違うんだ。
 それってね、場合によっては一生そのままなんだよ。噛みあわない。理解し合えない。たぶん、どっちが間違ってるって話じゃないんだ」

 彼女はそう言ってしまうと、しくじった、という顔になった。たぶん後悔しているんだろう。

「今年も、ちょっと楽しみにしてたんだよ。きっと、そういう人、他にもいるよ」

 彼女はそう言った。それは嬉しかった。そんなことを言ってくれる人は、今まで一人もいなかったから。
 でも、今更だったし、それは「彼女」の話であって、「俺」の話ではない。
 
「もう行くよ」

 俺はそう言って、屋上をあとにした。制服に砂のような雨粒がしみていた。



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