過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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239:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 18:14:07.23 ID:hAkQPchbo

 家を出ると、霧はいっそう濃さを増していた。 
 頭がズキズキと痛む。今朝からずっと、断続的に。
 
 俺も風邪をひいてしまったんだろうか。
 
 違うな、と反射的に思った。そうじゃない。大丈夫、ちゃんと分かってる。
 妙な動悸が走った。でもそれだけだった。気にすることはない。

 視界は、今朝よりは悪くない。人の声はしなかったけれど、だからといって感覚が遠ざかっている気もしなかった。
 手のひらを握り込む。痛みが走る。まともだ。

 早く用事を済ませて、帰ろう。こんな霧の中をいつまでも歩いていたくはなかった。

 少し歩いたところで、後ろから物音が聞こえた。
 気にせずに数歩先に進んだところで、とん、と背中に軽い衝撃があった。

「……お兄、ちゃん」

 半ばぶつかるように、背中に何かが合わせられ、すぐに離れていった。
 振り返ると、息を乱した妹が、俺の服の裾を掴んでいた。




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