過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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290:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/08(日) 18:38:09.07 ID:g01J+w8Ko

「だからおにいちゃんといるのは、すごく気持ちが楽なんだよ。でもそれってダメだよね」

「そんなことはないよ」

 と俺は口を挟んだ。

「うん。そう言うと思ったけど、でもダメなんだよ。それじゃ、ダメなんだよ」

 さっきより強い口調で、彼女は言った。俺は言葉を失った。

「だってわたしが逃げたくないんだ」

 従妹と目を合わせるのが怖かった。自分のことを言われているような気持ちになる。
 
「だから、わたしは帰る。あの街、すごく嫌いだけど、やっぱりわたしは、あそこにいるしかないから。今のところは」

 それから彼女はちょっと寂しそうな声で、

「逃げ場所にして、ごめんね」

 そう言って笑った。

「それじゃあ、おやすみ」

 軋むような気配。
 扉の閉まる音。

 溜め息が出た。彼女の中で、たぶん話は完結したんだろう。俺の感情とは無関係に。



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