過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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479:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/23(月) 17:39:56.44 ID:BMk4ZBhio



 家の中には俺と妹の二人しかいなかった。
 空は真っ暗だった。雨は段々と激しくなり、降り始めてから十数分経った今ではほとんど大雨と言っていいくらいまで強まっていた。

 雲が暗い。台風のときみたいに。

 さて、と俺は思った。ごく普通の土曜の正午過ぎだ。何かやることはあるだろうか。
 なぜだかわからないけれど、俺は寂しさをほとんど感じていなかった。
 昨夜はたしかに感じた、切ないようなあの感覚を、今朝はなぜか、まったくと言っていいほど感じない。
 
 今あるのは、ただ、なんとなくの、空虚感。あるいは、徒労感。

 妹はリビングのソファの上でクッションを抱え込んで座っていた。
 テレビは消えていた。だからもう、この家には音を発するものが何もない。
 窓の外の雨音以外には、掛け時計の音が微かに響いているだけだ。

 どうしてだろう?
 何か用事があるときをべつにすると、妹とはろくに話がはずまない。

 俺たちふたりは共通の話題というものをもたなかった。家族内のことは暗黙の了解の方が多い。
 家の外のことはお互い話題にしない。趣味も興味の対象も違うから、話が合わない。

 兄妹なんてそんなものだ、と言われれば、そうだという気もするのだけれど。
 でも、俺たちの場合は、そうした単純な会話のなさというものとは、どこか違うような気がする。




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