過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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480:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/23(月) 17:40:23.31 ID:BMk4ZBhio

 雨の音。ずっと続いている。黒い雲と細かな雨。染み入るような冷たい空気。
 なんだか、いやに肌寒い。身震いするほどに。

「帰っちゃったね」

 長い沈黙の後、意図せず口から漏れだしたような、流れるような声音で、妹が呟いた。
 その声は、感情というものが欠落しているように響いた。どことなく虚ろで、空々しい。
 
「寂しい?」と俺は訊いた。

「うん」、と妹は一度頷いたけれど、少し考え込んでから静かに首を横に振った。

「……ううん。そんなには」

 きっと、そっちが本心なんだろう。なんとなくそう思った。
 
「ほっとした?」

 今度はそう訊ねてみた。妹は少し驚いたような顔になった。
 それから「どうして?」と訊き返してくる。

「なんとなく」と俺は答えた。なんとなくそうじゃないかと思っただけだ。
 従妹と過ごすのは楽しいことだった。そう思う。
 でも、彼女が去ったのだということを実感したとき、俺は奇妙な感情が浮かび上がるのを感じた。

 安堵。俺は彼女がいなくなったことに、かすかに安堵を感じたのだ。
 



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