過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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500:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/24(火) 19:04:11.96 ID:1PtdhOx8o

 部長の指先がシャープペンをノックしている。カチカチという音が断続的に繰り返される。
 
「でも?」と彼女は首を傾げた。

「人が死ぬ話は書きたくないんです」

「……どうして?」

「……正確に言うと、人が死んで、悲しいってだけの話を書きたくないんです。
 誰かが死ぬなら、その死についてもっといろんなことを書かなきゃいけないと思う。
 そもそもそれ以前に、俺はそれについて何かを書けるほど、人の死っていうものを理解できていないと思うんです」

「ふうん」、と部長は意味ありげに何度か頷いた後、嬉しそうに笑った。

「それでももし誰かが死ぬ話を書くとしたら、きっと明るい話を書くと思います」

「たとえば?」

 俺は少し考えてから答えた。

「たとえば、破天荒で人気者だった九十歳のお婆さんが、老若男女の親戚や知人に看取られながら、老衰で大往生するような話です」

「……うーん?」

「……思いつきなので、考え込まれてもこまるんですけど」



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