過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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600:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/07(月) 19:42:12.53 ID:0AsOA6Dxo

「ときどき怖くなりませんか?」

 俺の質問に、部長はちょっと意外そうな顔をした。

「きみは怖いの?」

 夕陽の差し込む部室には、もう俺と彼女しかいない。
 文化祭の準備でがやがやと騒がしい校舎の中、この部室だけが別世界のように静まり返っていた。 
 
「ときどき、同じ一日がずっと繰り返されたらいいのにって思う時があるんです、俺は。楽しかった日なんて特に。
 そうすれば不安にはならないし、寂しくもならない」

「わたしがいなくなったら寂しい?」

 からかうみたいな調子で、部長は笑った。俺は笑い返そうとしたけれど、うまくいかなかった。

「俺は変化が怖いんです。自分だけが取り残されていくような気がするんですよ」

「そっか。そうかもね」

 彼女は窓の外に視線を移した。季節はもうすっかり秋だった。夏の余韻なんてほとんど存在していない。
 それからぽつりと、

「わたしも怖いよ」

 と、そうこぼした。まるで部長の声じゃないみたいに、静かで、か細い声だった。




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