過去ログ - 日下部若葉「若葉おねえさんにお任せなの」
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[saga]
2013/08/27(火) 01:52:36.61 ID:7ZscUsOc0
母は俺たちを連れて、実家に帰ることを決めた。
父がいなくなり、パートタイマーくらいでしか働いたことのない母では、このまま生活を続けるのは難しいと判断したからだ。
バタバタと忙しく、若葉姉さんの中学合格を祝うことも出来ないまま、俺たちは生まれ故郷から離れることになった。
そして、引越しの日の当日。若葉姉さんが、息を切らしてやってきた。
「若葉姉さん……ごめんね。急な引っ越しで……中学校、合格できたんだってね。おめでとう」
俺がそれを笑顔で迎えると……彼女の瞳から、涙が流れた。
それを見てうろたえていた俺に、彼女はひし、と抱きついてきた。
「……離れ離れになるのは……寂しいけれど……元気で……ね……」
途切れ途切れに言葉を選びながら、彼女は俺に別れへの惜しみと、これからへの励ましを送ってくれた。
「……ありがとう、若葉姉さん。大丈夫だよ……姉さんも……元気でね」
俺も、彼女を抱き返す。
ふわりとした、柔らかい匂い。温かな、体温。
……この日だまりの様な、僕が安らげる彼女との繋がりも、ここで終わる……。
でも、きっと大丈夫。始めて彼女と出会った時よりも大きく成長した。背丈も、姉さんと同じくらいになった。
ここからは……俺が、守る側に回る番だ。
「それじゃあ……さようなら。若葉姉さん」
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