過去ログ - 日下部若葉「若葉おねえさんにお任せなの」
1- 20
64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/27(火) 01:52:36.61 ID:7ZscUsOc0

 母は俺たちを連れて、実家に帰ることを決めた。
 父がいなくなり、パートタイマーくらいでしか働いたことのない母では、このまま生活を続けるのは難しいと判断したからだ。
 
 バタバタと忙しく、若葉姉さんの中学合格を祝うことも出来ないまま、俺たちは生まれ故郷から離れることになった。
 
 そして、引越しの日の当日。若葉姉さんが、息を切らしてやってきた。

「若葉姉さん……ごめんね。急な引っ越しで……中学校、合格できたんだってね。おめでとう」
 
 俺がそれを笑顔で迎えると……彼女の瞳から、涙が流れた。
 それを見てうろたえていた俺に、彼女はひし、と抱きついてきた。

「……離れ離れになるのは……寂しいけれど……元気で……ね……」

 途切れ途切れに言葉を選びながら、彼女は俺に別れへの惜しみと、これからへの励ましを送ってくれた。

「……ありがとう、若葉姉さん。大丈夫だよ……姉さんも……元気でね」

 俺も、彼女を抱き返す。
 ふわりとした、柔らかい匂い。温かな、体温。

 ……この日だまりの様な、僕が安らげる彼女との繋がりも、ここで終わる……。
 
 でも、きっと大丈夫。始めて彼女と出会った時よりも大きく成長した。背丈も、姉さんと同じくらいになった。
 ここからは……俺が、守る側に回る番だ。

「それじゃあ……さようなら。若葉姉さん」



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
99Res/79.95 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice