過去ログ - 日下部若葉「若葉おねえさんにお任せなの」
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65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/27(火) 01:58:55.22 ID:7ZscUsOc0

 母の生家にて、彼女の母……俺たちの祖母は、快く向かい入れてくれた。
 とはいえ、一人暮らしの老人の年金では、家族4人を養うのは難しい。母は仕事を探し始めた。

 ……とはいえ、やはり長らく正社員の仕事に付いてない母の求職は難航した。

 祖母に俺たちの世話を任せて走り回る母に、自分も新聞配達をすれば少しは足しになるんじゃないか、と提案した事がある。
 母も、祖母も反対した。今は学生として、勉強を頑張ったり、部活で楽しんだりするのが貴方の本分だ、余計な心配は無用と言われた。
  
 この日の問答から数週間後、母は保険会社の営業へ採用された。

「ほら、あたしが本気を出せば、こんなものさ。アンタはまだ子供。まだまだ親に甘えときなさい」

 にこやかに話す母と説得を続ける祖母の様子に思い直し、俺はバイトはせずに勉学や部活に励んだ。
 
 そして、暇な時間を見つけると、中学卒業後に就職できる場所、その条件を独自で調べたりしていた。

 同級生が高校進学を控え、そのための親と教師との面談の時に。
 俺は、中学卒業後に就職口を探し、そこで働くつもりだと宣言した。

 当然のように母は反対し、担任教師も顔をしかめる。

「母さん……正直なところ、このままだと妹たちを高校に上げることすら厳しいんじゃないの?」 

 その指摘に、母は口をつぐんだ。
 下の妹の身体の弱さは、この時期になってもまだ克服できていなかった。

 当然、治療のための医療費もかかる。
 俺もなんとなく察していたのだが、母は風俗関係の仕事に転職する事も考えていたらしい。

「大丈夫。俺は俺なりに、仕事に付いても調べてきた。……まだまだ粗だらけかもしれないけれど、俺は、妹たちを守りたいんだ」

 俺の決意の固さを本物だと判断したか、ついに母も折れた。
 定時制の高校に通う事、決して無理をしない事を条件に、働く事への承諾を得た。



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