過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」 その3
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乾杯
◆ziwzYr641k
[sage saga]
2013/09/04(水) 00:27:24.34 ID:V6cReWvf0
室内を広く視野に収めつつ相手との間合いを測る。
男との距離はおよそ5メートル。
今の上条なら埋めようと思えば一瞬で埋められる距離だ。
だが、上条はすぐには動かない。
足を肩幅ほどに開き、左右どちらにも動けるよう備え
軽く突き出した腕の手首の先だけを小刻みに動かして相手の反応を窺う。
男の左手の中では、親指と人差し指の間で今もナイフが弄ばれている。
刃渡りはせいぜい7、8センチといったところで、他にも何本か隠し持っているとみるのが妥当だろう。
そして右手には既に原型を留めていないスチール缶があった。
日々喧嘩に明け暮れている上条から見れば、そちらも凶器と何ら変わらない。
拳に手頃な大きさの物を握り込むと、指と手のひらの隙間が消失する。
それを利用すれば、素人であっても格闘家のそれに近い質の打撃が放てるようになる。
相手の体と拳が接触する際、前方への衝撃が反発しづらくなるためだ。
つまり、拳が重いという表現は比喩ではない。
きちんした握り方をすることによって力が一点に集約し、結果として威力が増すのだ。
二つの凶器を相手に迂闊な先手を取るのは愚かなことだった。
その一方で、男の方も攻めるタイミングを計りかねていた。
中身の入ったスチール缶を潰すほどの一撃は、急所に当たればただでは済まない。
相手は相手で第五位救出という目的があり、それなりに焦りを感じているはず。
おそらくすぐに仕掛けてくるだろうとタカをくくっていたものの、存外慎重に立ち回っている。
自分とてここで足止めを食らっていては逃走する機会を逸してしまう。
外の状況を鑑み、学園の暗部と思しき連中の侵入を許していることも考慮すれば
時間をかけている余裕など全くない。
今すぐにでも、この少年の仲間が部屋に飛び込んで来ないとも限らないのだ。
相手の呼吸を読み合い、お互いの意識が攻撃に傾いていった。
そして――――ふいにその膠着状態が解けた。
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