123:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/31(土) 05:21:37.56 ID:EaOumZa8o
「別に」
僕は平板に答える。
「君のことは関係ない。僕はあいつが大嫌いだったから」
「ごめん」
それでも彼女は謝り続ける。ただ、謝り続ける。
僕は、それによってゆっくりと凝り固まっていたものがほぐれるのを感じた。
そのせいで、心の奥に縛りつけていた恐怖が、震えが顔を出した。
腕が震える。肩が震える。身体全体が細かく震える。
怖い、怖い、怖い。浴びた返り血が生温かかったのを思い出す。
僕は小さく叫んだ。彼女に抱きしめられながら嗚咽する。
痙攣するように声が漏れる。
もう嫌だ。あんなのはもう嫌だ!
それは敗北宣言だった。
僕は負けたのだ。
彼女の命と自分の覚悟を天秤の両端に乗せて、結局彼女を取れなかったのだ。
「違うよ。ショコラの勝ちだよ」
僕ははっと顔を上げる。
「ショコラはショコラのまま帰って来てくれた」
僕の顔がなんだかもうよくわからない感情で歪む。
「ありがとうショコラ。愛してる」
僕はもう何度目かになるか分からない号泣をすることになった。
「僕もだ、ヒナ」
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