42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/27(火) 16:57:27.22 ID:A4xiBcVFo
それから甘美な時間が終わって、僕は帰り支度をしていた。
といってもまとめる荷物なんてほとんどなかったけれど。
「その……また来てもいいかな」
訊ねるのには勇気がいった。
「別に」
彼女はそっけなく答える。
「好きにすれば。来るならわたしも助かるし」
二千円ぽっちで?
思ったが口には出さないでおいた。
さて、と靴を履いて立ち上がる。
振り向くと彼女が立っている。
夫を送り出す新妻みたいだな、と思ってちょっとこそばゆい。
相変わらずの仏頂面だけれど。
そういえば、と思い付いて口を開いた。
「名前を訊いてなかった。教えてもらえる?」
彼女に反応はなかった。
あれ、聞こえなかったかな、と思ってもう一度訊こうとするのと同時、彼女は口を開いた。
「ヒナ」
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