過去ログ - 吸血少女と待つ夜明け
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59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/29(木) 07:55:07.13 ID:4qp9y0uQo

 ドアが開く音がした。
 陰から覗くとあの正社員が出ていくところだった。
 エレベーターに乗って消える。
 いつの間にかかなりの時間しゃがみこんでいたらしい。

 僕はしばらくぼうっとしていたが、ようやく気づいて立ち上がった。
 今、ヒナは一人だ。
 ドアの前に立った。
 短くはない躊躇の後、ノックした。

 大した音もなくドアが開いた。少女の白い顔がのぞいた。
 気軽に、「やあ」とか「元気?」とか言おうとして、失敗した。
 僕は沈んだ顔のまま立ち尽くした。

 ヒナはなんとなく事情を察したのかもしれない。
 部屋の奥を示した。入れということだろう。
 それでも動かないでいると手を取られた。
 彼女の手はあたたかかった。



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