過去ログ - ペトラ 「父さん、私、調査兵団に入る!」
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30:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/06(金) 21:02:59.24 ID:oscLW8Kc0


白く光る月が上り、私がやっと泣き止んで、脱力し座り込むまで、

リヴァイ兵長は黙って待っていてくれた。

気が付くと私は馬の背に乗り、ゆっくりした速度で揺られていた。

「気分はどうだ?」

前を向いたまま、我に返った気配に気づいたらしい兵長が問うてくる。

月明かりに照らされた夜の道に、低く穏やかに響く声がとても心地よかった。

「・・・はい、もう大丈夫です。・・・あの、ありがとうございました 」

「お前が怖いものは何だ? 」

唐突に尋ねられる。

私が怖いもの。 それは人間が食べられるという、その事実そのものだ。

相手の苦しみや痛みにかまうことなく、ただがむしゃらに人間をかみ砕く、

その行為がとても恐ろしいのだ。

うまく言えない思いを伝えようと、一生懸命説明する。

「父さんは武器職人で、いろいろな本を読んでいて、きかせてくれました。

昔は人間同士で戦い、残酷に殺しあっていたと。 それは広い土地や、

食べ物やなんかを、より多く手に入れるためのものだったと。

人がむごたらしく死ぬのは同じなんですけど、何というか、違うんです。

これなら、”わかる”んです・・・。 でも、巨人が人間を食べるのは、

何というか、違う、と思うんです・・・ 」

「・・・そうだな。 やつらには目的や理由が無い。 腹が減っているわけでもなく、

俺たちを憎んでいるわけでもなく、殺しを楽しんでいるわけでもない。

ただ相手の苦しみなんざおかまいなしに食うだけだ。

要するに・・・奴等には”心”がねえんだ。 」

そうだ。 巨人たちの行動を、私たちは全く理解できないのだ。

だから、怖い。


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