過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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◆owZqfINQN1ia
[sage saga]
2013/09/03(火) 22:48:47.56 ID:aSNq81Rdo
三人が黙り込んだまま、数分が経過しただろうか。壁に映像を映し出していたガラス玉は既に光を失っていて、ただの濁ったプラスチック玉のようなものに変貌していた。
「神裂、」
「さっき、世界中の魔術結社が一方通行を探しているって言ってたよな。」
「そいつらは一方通行を探し出して、何がしたいんだ。」
彼女はその質問に直ぐには答えなかった。その素振りを見る限り、答えを知らないわけではなかったのだろう、ただ、どう伝えればいいか逡巡しているように見えた。
「…それは、それぞれで目的が違うと思います。」
漸く彼女が口にしたのは、酷く曖昧なことであった。
「彼女を利用しようと思う者、或いは抹殺してしまおうと思う者、様々でしょう。」
「だけれど、多くの魔術サイドの人間がこの人物を探し出そうとしているのは確かです。」
彼女が行使した力が何なのかは分からない。だがそれは聖人にも扱うことが難しい程の大きな力である。それだけの力を扱うことのできる人間が存在を知られていなかったということが、そもそもこちらの世界では大変な驚きであったのだと彼女は言った。
「普通これだけの力を持っていれば、その存在が知られている筈なのです。例えばローマ正教の最高機密である神の右席だって、使用する魔術などの詳しい情報はともかく、こちらの人間であれば誰もがその存在を知っています。」
「彼女のような存在が見つかったこと自体が、想定外なのですよ。」
どこかの魔術結社が隠し持っていた切り札なのだろうか、それとも個人で活動している魔術師なのか、そもそも人ではなく魔術師が生み出した存在なのではないか。魔術師たちの間にはそんな憶測が飛び交っているらしい。
例えば既にどこかの魔術結社に所属しているというのなら、大概の魔術結社はそれを見付けたとしても手出しをするようなことはしないだろう、と神裂は続けた。それは魔術結社同士の抗争に発展するからだ。第三次世界大戦という大きな争いを終えたばかりの彼らは、新たな揉めごとを必要以上に忌避していた。
逆に個人で活動している魔術師だったなら、壮絶な引き抜き合戦が始まる筈だ。やはりこちらも揉めごとの種になりかねなから、「壮絶」とは言っても水面下の争いになるだろうが。
「未だ殆どの魔術師は学園都市の超能力者であるという可能性には気付いていないでしょう。」
「でも、いつかは気付かれますよ。」
「そうなったら、どうなる?」
「分かりません。」
良い結果は、生まないでしょうけれど。と彼女は悲しげに告げた。
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