過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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214: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2013/10/24(木) 05:14:32.71 ID:Vl9ebFvao



「でも、本当に滝壺さんの言うようなことが起きていたとして、あの子が行方不明になった理由は何かしら。」

もぬけの殻となった病室に争ったような跡はなかった。彼女一人の為したことか、或いは他の人間が関わったことかは分からないが、少なくとも彼女が望んだことである可能性が高い。彼女が拒んだり、抵抗したりしたならば、ベッドだってあれほど整ったままではなかっただろう。

「多分、治す方法を探しに行ったんだと思う。」

「この病院では治療できないようなことなのかしら。」

「私やらすとおーだーがロシアで経験したような、ちょっと変わった方法が必要なんじゃないかな。だって、この病院で検査しても何も見付からなかったんでしょう?」

「あくせられーたは言ってた。「異常は見付からなかった」って。「異常がなかった」とは言ってなかった。」

「ここで異常が見付からないものを、ここで治せるわけがないと思う。」

彼女自身も魔術というものをよく理解しておらず、一方でそれを無闇矢鱈に口にしてはいけないことを何となく悟っている滝壺は、その存在をはっきりとは告げなかった。

「学園都市には存在しない技術を探しに行った、ということかしら。」

意外なことに、学園都市の研究者である芳川は、滝壺が「学園都市に存在しない技術」の存在を仄めかしても然程驚いたような様子はなかった。或いは冷静な科学者であるからこそ、自分の知らない未知の領域があって当然だと考えているのかも分からなかったが。

「だとすると、あいつは学園都市にいないってことか?」

少年は呟いた。
だが、その答えは誰も持っていなかった。彼のよく通る声が、その場に居合わせた人物全ての頭の中で木霊した。



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