過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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◆owZqfINQN1ia
[sage saga]
2014/02/02(日) 12:29:27.19 ID:rMwp2u+So
色々と用事を済ませているうちに、夕方に家を出た筈がいつの間にやら完全下校時刻どころか、不良が活発に活動しているような時間すらも過ぎていた。自ら望んで入り込んだ世界ではあるが、多重スパイというのは面倒なものである。
「さぁて、第一位サマの探しものは見付かったかにゃー。」
そこは訳ありの用途ばかりに用いられているらしく、立地も造りもいいというのに恐ろしいほど人気のないマンションであった。彼は軽口を叩きながら、その一室に足を踏み入れた。
「ん?」
玄関を入って直ぐにダイニングがある。そこには昨夜彼が差し入れのつもりで置いて行ったコンビニの袋が、触れられた様子もなく放置されていた。
度々好みの代わる缶コーヒーについては彼女の口に合わなかった可能性も考えられるが、その他の食品に関しては若干ジャンキーなものを好む彼女に合うものを用意した筈だ。しかし中身は消費されるどころか、触れられた様子もなくダイニングテーブルの上に置かれたままだ。気付いていて放置したというより、そもそも気付かれなかったのだろうと思わせるその様子に、嫌な予感がした。
慌てて冷蔵庫を開けると、何も入っていないどころか、そもそも電源が入っていなかった。直ぐそこにあったゴミ箱を覗き込んでも、紙屑一つ入っていない。まさか、
(あいつ、ここに来てから飲まず食わずってわけじゃあ、ないよな、」
思ったことの最後の方は、思わず口から出て音になっていた。確かに人間が数日間滞在している筈なのに全く人の気配がしないその空間に、薄ら寒いものを感じた。
(そりゃあ、人払いをしているんだから、人の気配なんかする筈がないんだけど)
それにしたって当たり前の生活の痕跡まで消せるわけではない。生活していればゴミは出るし、水は使われるし、物は動かされる。今のこの部屋は、いっそモデルルームの方が余程生活臭がすると思えるほどに人の存在を感じさせない。
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