過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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412: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/02(日) 12:50:41.73 ID:rMwp2u+So

安っぽい飴のようにぎらぎらと光を湛えているだけのように思っていた女の目が、確かに違った色を見せた。宝石のようだ、という表現も当たらない。そんな無機質な光ではない。それは意思を持って生きているものにしか宿らない色だった。

「お前は、」

「俺を全否定したいのかよ。」

喜怒哀楽も、何もかもごまかして、まるで自分には縁のないもののように振る舞うことで自分が自分で在れる男は、ひとりごとのように呟いた。女にそのつもりはなくっても、間違いなくその決意は男にとっての暴力であった。
しかし彼女は何も言わなかった。そんなつもりはないと否定するつもりだったのか、それとも追い打ちを掛けるように皮肉を言うつもりだったのかは分からないが、かは、と声にならない声を出して、そこから先は続けることができなかったらしい。はあ、と酷く苦しげな息を吐いた。

「少しは寝ろ。まだやることは残ってるんだろうが、そんな状態じゃどうにもならないだろ。」

こんな状態で問答を続けたって何の意味もない、と判断した男は、ギブアップを告げた。説得は諦めたから好きにしろ、というほどの意味である。
男は抱きかかえたままにしていた彼女を床に寝かせた。本当であったら柔らかいベッドに寝かせてやりたいところだが、彼女は滝壺理后の能力からも逃げられるように作ったこの空間から出たくはないのだろう。この部屋は本棚があるだけであるから、寝るのに適しているとはお世辞にも言えない。



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