過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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479: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/03/02(日) 17:44:14.01 ID:cAJhMMu1o



「あ、」

インデックスは思わず声を上げた。

少年の背に背負われて前もよく見えぬままここに来たので、完全記憶能力を持つとはいえ正確な現在地が分からず、誰かに助けを求めに行っても迷ってしまう可能性があった。だからといって部屋に戻ることもできなかった彼女は、途方に暮れたようにオートロックの直ぐ外側に座り込んでいた。
そんな彼女が誰かが近付いてくる気配に顔を上げると、オートロックの自動ドアから出てきたのは意外な人物だった―くうくうと気持ちよさそうに寝ている少年を、当たり前の顔をして背負った一方通行である。

「ぐんはは、どうしたの?」

ついさっきは死人かと思うほどに酷い顔色をしていた筈の一方通行は飄々とした様子で、逆に少年は赤子のように寝入っている。彼の体に大きな怪我はないが、それでも全身に細々とした掠り傷のようなものが見えた。

「無茶しやがったから、念の為病院に連れてく。」

一方通行の一言で、聡い彼女は自分があの部屋を飛び出してから起きたことを大まかに察したらしい。少年がそうと知らずに魔術を使用してしまったのだろうこと、それによって一方通行は回復したのだろうこと。

「インデックス。途中まで送ってってやるから、これ、返しといてくれ。」

一方通行はインデックスに妙に可愛らしいチャームの付いた鍵をぽいと投げて寄越した。「誰に」返しといてくれ、とは明言しなかったが、何となく予想はつく。
そもそも鍵なんぞなくてもセキュリティを突破して部屋に入ることなぞ造作でもない彼女は、この部屋に来たときも当然不法な侵入方法を取ったのであるが、何故かリビングのテーブルにはこの鍵が置かれていた。土御門のものだとは思うが、暫くはここには来ないとでもいう意味だったのだろうか。しかしその態とらしさが彼女には妙に厭味ったらしく感じられたので、インデックスを介して返却することにした。



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