過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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485: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/03/02(日) 17:56:09.55 ID:cAJhMMu1o

「気配に気付かれるのはまだいいとして、何故気配だけでこのミサカだと分かるのか腑に落ちません、とミサカは不満を露わにします。」

「お前のは分かりやすいンだよ。」

椅子に座ったまま、彼女は薄い唇の端を片方だけ持ち上げて笑った。嘗ては威圧的で攻撃的に感じたその表情は驚くほど柔らかくなっており、悪戯っぽい子供のように愛らしくすら見えた。
ほんの数ヶ月でこんなにも表情が変わるというのだから、やはり彼女は人形でも科学の結晶でもなくて、元より人間であったのだろう。自分たちは未だ自然に笑うことができないから、それを酷く羨ましく思った。「それを羨ましく思えるのなら、ミサカたちはやっぱり人間なんだよ、ってミサカはミサカは言い張ってみる」―いつか幼い上位個体が願うように祈るように言った言葉を、10032号も心の中で繰り返した。

「分かりやすいとは具体的にどういうことでしょう。後々のために参考にします、とミサカはアドバイスを求めます。」

「そンなン後にしろ。別の用事があったンじゃねェのか。」

10032号は不本意ながら彼女の言葉に従った。本題が別にあったのは事実だし、後にしろ、というからには本題を済ませた後なら答えてくれるのだろうと思ったからだ。彼女は妹達に対してそういった言葉だけの逃げを使わない。

「では先ず、上位個体に頼まれたお使いから済ませましょう。」



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