過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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570: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/04/05(土) 19:35:32.17 ID:u2y932Ijo

「そうだね、ミサカたちと第一位は、そんなんでは離れられないね。」

番外個体は俯せになった状態のままベッドから少しだけ状態を起こし、一方通行の耳の横で揺れる黒いコードに指を引っ掛けた。一方通行はそれを嫌がる様子はない。

「ミサカたちにとって、あなたにとって、これは良かったのかなぁ。」

一方通行はきゅっと眉を寄せて、怒っているとも悲しんでいるともつかぬ表情を見せた。

「そんな顔しないでよ、ミサカまで悲しくなっちゃう。あなたの考えるような意味ではないんだから。」

彼女が、一方通行の補助演算などしなければよかったなどと考えているわけではないことは知っていた。だけれど、一方通行自身もこの電極が在ってよかったのだと肯定することはできていないから、その言葉に色々なことを考えさせられてしまう。
これがなければ、ただ自分は報いを受けて廃人となるだけだ。或いは自分を利用せんとする輩が現れて妹達を介さない似たようなシステムを構築しようとするかもしれないが、自分はそれを拒むだろう。良くも悪くも自身を支えているのが妹達だと思えばこそ、一方通行は自罰的にこの宙ぶらりんな体を受け入れてきた。
逆に妹達にとってもいい面と、悪い面があったのだろうか。一方通行はそれを知らない。彼女らの助けになれている自分を知って、満足してしまえるようなことがあってはならないと思っていたから、敢えて確認することはしないでいた。今だって、それはしたくない―その答えを知ってしまったなら、これまで半年以上の間自身を突き動かしてきた感情が消え去ってしまいそうに思えたからだった。

「…週に一度くらいは顔見せるから、お前も定期的に帰ってこいよ。」

「そんなの約束できないや。」

番外個体は毛布に顔の半分以上を埋めて、それから何も言わなくなった。



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