過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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◆owZqfINQN1ia
[sage saga]
2014/04/18(金) 22:08:26.23 ID:f2uSNx2Wo
いや、後ろめたいのはそんなことではない。
周囲が持たないものを持つことなんてこれまで当たり前であった彼女にとって、それは背徳感を生む原因になどなりはしない。胸が痛むのは、都合よくその二つを使い分けることを勧められているような気がしたからだ。
無論、親船最中がそんなことを考えているわけではないことは分かる。それでも、漸くこれまで自分の為してきたことは自分自身に責任がある、と受け止める決意を固めた彼女にとって、その『自分自身』が曖昧になるようなその特例は、自分の責から目を逸らすことのように感じられた。
「…違法行為なンじゃねェのか?」
「IDはこの街の中でだけ通用するものですから、それを制限する「国の法」はありませんよ。言葉の綾と言われてしまえばそれまでですが、少なくとも違法行為ではありません。」
「この街のルールとしてのそれはありますが、それを破ってあなたにもう一つのIDを与えたのはこの街ですしね。」
快くその提案を受け入れる様子のない一方通行に、困り果てたように親船は溜息を吐いた。
「最初に言ったように、あくまで期間限定でその状況を認める、というだけの話です。その間に、「どちら」として生きるか決めて欲しいのですが。」
「ゆっくり考えて下さい。簡単に決められることではないでしょうから。」
彼女は温くなってしまった煎茶に口をつけると、打って変わって久しぶりに会った孫に近況を訊ねる祖母のような調子に戻った―一方通行の祖母としては、些か若いが―恐らく、今日明日に結論の出ることではないだろうと見て、今日はこれ以上この話をするつもりはないと暗に伝えようとしたのだろう。
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