過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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620: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/05/17(土) 22:36:06.26 ID:/zUy/61do

彼女自身も妹達も電極を外した状態について語ることはあまりなかったし、少年も人の隠しごとを暴く趣味はないから、積極的に訊ねることはなかった。このように生活を共にするようになる前に、自分から積極的に関わっていくべきだったのかもしれないと、この上京を鑑みれば思わないでもない。

「彼女」について彼が知っているのは極僅かなことだ。

この状態でも意識がないわけじゃない。
物事を記憶できないわけではないから後からこの間に起きていることを思い返すこともできるらしい。ただ意思を持って物事を見つめているわけではないから、覚えていることは支離滅裂だったりするようだが。
電極を付け直した後に思い返すという形でなくても、今この瞬間でも好き嫌いといった単純な判断はできるという話も聞いた気がする。

「そりゃあ、能力使えば難なく引き剥がせるんだろうけど。」

更に言えば普通に椅子に座っているだとか、立った状態であるだとか、そういう状況ならば能力を使わずともそれは可能だったろう。しかし、関節が妙な具合に曲がったままソファーに押し付けられているこの状況では、能力を使う使わないは別にしておいて多少乱暴な方法でなければこの拘束を解くことはできないと思う。

「どけていいのか、これ。」

怖がらせたりしないだろうか。能力を使わないにしても、力づくで引き剥がしていいのだろうか。起こしたり、怖がらせたり、悲しませたりしないだろうか。そもそも意識ある状態では滅多にこんなことしてくれないくせしてこういう対処の難しいときに限って何でこんなこと、と恨み言が漏れそうになったとしても、彼に然程非はあるまい。
この状態を黄泉川愛穂や打ち止めに目撃されたなら、どんな反応をされるか分かったものではない。幾ら超能力者第七位とは言えど、強能力者相手に武器を使わず拘束できるような歴戦の警備員の怒りを買いたくはないのだが。



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