21: ◆delkBMjP.Ce4[saga sage]
2013/08/31(土) 23:56:55.96 ID:xp1O2wjRo
「アイスコーヒーを一つ、何か飲むか?」
「えっ……いや、そんなの悪いです」
「いいんだよ、給料が入ったばっかりだから」
「は、はい、じゃあミルクティーを……ありがとうございます」
知り合いに会うと面倒なので、少し歩いた先にあった喫茶店に二人で入る
そこまでの道のりは本題には入らずに、互いの事を自己紹介をしていた
真剣な話は落ち着ける場所の方が良いだろうと、勝手に思っていたからだ
「お待たせしました、アイスコーヒーとミルクティーになります」
ボーっとしていたら、いつの間にか注文したものがきていた
手元にあったミルクとシロップを注ぎながら彼女の姿をジッと見てみる
さっきから視線を下に落したまま、何も喋ろうとはしない
というよりは何を喋ったらいいか分からないという感じだ
「で、オレに何の用?」
このままじゃ埒が明かないので、再度こちらから話題を切り出す
聞きたい事は山ほどあるだろうし、この場で不安を取り除いておきたい
急に話しかけられてハッとしたのか、彼女は意を決したように顔を上げて喋り始める
「なんで、私を合格させてくれたんですか?」
「気に入ったからっていったじゃん」
「でも、私は妹の事もありますから……」
「それも自分で頑張るって言ってたと思うけど?」
伏せ目がちに、オーディションで言っていた妹の話をするが
これ以上、ネガティブな発言をさせないように完結に理由を告げる
彼女にとっての不安要素は色々あるんだろうけど
何も知らないオレが心配していても仕方ない
それがわかってオーディションを受けに来た彼女を合格させた
そもそも、オレはプライベートにどうこう言える立場でもないので
その妹の事もひっくるめて彼女と進んで行くしかない
そう腹をくくってしまえば、気持ちには大分と余裕があった
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